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これまで手がけたうちでいちばん大きな掛け軸は、「蝉丸」という能の一場面を描いた作品の表具です。
大正期に表装されたとおぼしき掛け軸は歳月を経て糊が枯れ、作品と回りの裂地、裏打ち紙のあいだが部分的にはがれてきていました。
そのための仕立て直しです。
まず古い裏打ち紙を丁寧にはがし、作品だけを取り出して新しい表具を施していくのですが、解体(?)していく際に現われる先輩職人の緻密な技には思わずため息が出ます。
「なんでも鑑定団」の中嶋先生の名ぜりふ「いい仕事をしてますねえ~」ではありませんが、「きっちりとした、いい仕事」を目の当たりにできた幸せを感じます。
その幸運と、今回の表装者となった楓林堂の技術は次の表装者に恥ずかしくないものだろうかと、少しドキドキ不安な気持ちが入り混じった思いでお客さまに納めたのでした。
写真はあまりに丈が長くて工房に掛からず、自宅の階段の壁面を利用して掛かり具合を確かめているところです。
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