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表具屋には役得がいっぱいあります。
このことは修業時代に師匠からも聞かされていました。
若いころ大工だった師匠いわく、
「大工、建具屋、配管屋、塗装屋、板金屋・・・世の中に職人はたくさんいるが、
床の間のある座敷に通されてお茶を出されて仕事を頼まれるのは表具屋ぐらいなもんだ。それにろくに学校も出てないのに表具教室で『先生』と呼ばれて、 可笑しなもんだ」
開業してみて、納得!
そして役得はもっともっとたくさんありました。
たとえば、
お客さまのだいじなお宝の掛け軸や額などを仕立て直しするためにお預かりします。
普通ではおいそれと見ることのできない名品をしばらく手元において鑑賞できるゼイタク。
その作品の内容を知る楽しみもついてきます。
最近では水墨画の掛け軸から「漁樵(ぎょしょう)問答」、額から「韓信の股くぐり」の故事ことわざを知りました。
また古い額や屏風、ふすまを解体した時にたまたま見つかる書き付け証文や手習いの筆跡。これは紙の貴重な時代、下張り紙として反故紙を再利用したのですが、興味深いものです。
読み慣れない筆字をたどっていくおもしろさや日付を見つける楽しみがあります。
代用に新聞紙が張ってあるときもあって、赤茶けたニュース記事や当時の広告が
こつぜんと現われます。
時間も仕事も忘れて、ついタイムスリップしてしまうのです。
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