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三が日が過ぎ、松もとっくに取れ、平泉では中尊寺の金杯披き、毛越寺の二十日夜祭も終わって、1月もあとわずか。世の中はいつも通りの日常に戻っております。
こんなときに新年のご挨拶とは、まことに間が抜けています。あら、去年の最初のブログも、たしか同じようなセリフで始まったのでありました。すっかり更新怠け癖がしみ付いております。

さて工房の近況ですが、年末に古い掛け軸の仕立て直し注文が相次いで、その作業と大般若経の修理に追われています。

古ものの仕立て直しは得意とするところですが、それでも毎回背中がゾクッとする部分があります。
それは古い掛け軸から作品部分を損傷なく取り上げて、新しい裏打ちを施す工程です。これさえうまくクリアできれば、あとは間違いなくきちんと掛け軸はできていきます。ですから古い裏打ち紙を剥がす、という時はついピリピリとしてしまいます。

今回はピリピリにもうひとつピリがついた仕事が入っています。それは中国で表装された掛け軸の仕立て直しです。
おおかたの日本の表具師は、糊が枯れて将来また表装し直すのを前提にして掛け軸を作っています。水を含ませれば裏打ち紙から簡単に剥がれてくれる糊を使っているのです。前の表具師の糊が簡単に剥がせたように、自分も次の世代の表具師へ配慮した表装を心がけているというところでしょうか。

ところが、中国で表装された掛け軸の多くは剥がれにくく、難儀します。本紙を傷つけてしまいそうな超強力糊が使用されていて、表具屋泣かせです。「中国製はお断り」という同業者もいるほどです。
表装の技術は中国から伝わってきたのですが、中国糊の簡単な融解テクニックというものがあるのならぜひとも知りたいものです。

手元に預かって、まだ手をかけていないこの掛け軸の糊はいったいどんな感じなのか、ちょっと、いやかなり怖いものがあります。
分析が好きな元化学屋のツレアイは楽しみにしているようですけど。

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