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先日、新聞で和紙の講演会があると知って、さっそく出かけました。
講師の先生がおふたり。
ひとりの先生からは中国から発祥し我が国に渡ってきた技術がどのように高められていったかという歴史を、もうひとりの先生からは古代陸奥の国の文字資料から東北の紙生産、使用の歴史を聞きました。
とくにおもしろかったのは、紙の始まりです。
紀元100年ごろ、中国の蔡倫が紙を発明した、と中学生の時に習いました。
けれどもその後考古学の研究が進み、今から2200年前頃の遺跡から紙が出土して、紙の歴史認識が大きく修正されました。
現在では多くの紙研究者が、紙のもとを発見・発明したのは「漂絮(ひょうじょ)」という仕事に従事していた女たちだった、と考えているようです。
「漂絮(ひょうじょ)」とは洗濯のことで、当時はザルやカゴの中に衣類を入れ、水中に沈めて棒でかき回したり叩いて洗浄しました。使用後に乾かしたザル、カゴの底部に溜まっていたのが繊維くずのシートだったのです。
「女性の皆さん、洗濯機の糸くずフィルターにたまった繊維くずでおわかりでしょう」と言われて、思わず納得!
そのふわふわと薄く柔らかなシートを、彼女たちは大事なもの、例えば宝石などを包むために使ったのではないか。その後、植物の皮を砕いて原料にするなどして改善改良を加えて、包装材から書写材に発展していったというお話でした。
画期的な改良を行って成果を上げたのが蔡倫だったのでしょう。
中国からもたらされた紙の製法が日本で独自に発展して質が高められ、現在の「和紙」になっていきました。
表具屋は依頼された作品の本紙や裏打ち紙といった和紙を毎日手にしていますが、この始まりが洗濯女たちだったと知って、なにやら親近感が湧いてきました。
*写真は講演会の続きで、毛越寺さんにおじゃまし、お寺の古文書の紙質を調べているところです。何事も初めての経験でおもしろかったです。
~浄土の風 薫る町に~ 表具工房 こがさか楓林堂
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