[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
平泉の成り立ちをやさしく紹介する紙芝居作りのおはなしでした。
その後、あちこちで上演されていますが、来月も花巻と一関であります。
紙芝居といえば子どもが観るものですが、なかなかどうして、
子ども相手に作っているので清衡公の生い立ちや思いがよくわかります。
あっという間に終わってしまいますから、お買い物の足を止めていただければ、
と思います。
○花巻市大迫町雛祭り
・3月3日(水)11時~
・大型紙芝居上演特設会場にて
・読み聞かせボランティア「たんぽぽ」さんが上演
○イオン一関店開店3周年祭
・3月7日(日)14時~
・イオン一関店にて
・県南振興局の女鹿智恵さんが上演
写真は原画を元に平泉中学校の美術部の生徒さんたちが
東山和紙に拡大して完成した直後のものです。
表具屋には役得がいっぱいあります。
このことは修業時代に師匠からも聞かされていました。
若いころ大工だった師匠いわく、
「大工、建具屋、配管屋、塗装屋、板金屋・・・世の中に職人はたくさんいるが、
床の間のある座敷に通されてお茶を出されて仕事を頼まれるのは表具屋ぐらいなもんだ。それにろくに学校も出てないのに表具教室で『先生』と呼ばれて、 可笑しなもんだ」
開業してみて、納得!
そして役得はもっともっとたくさんありました。
たとえば、
お客さまのだいじなお宝の掛け軸や額などを仕立て直しするためにお預かりします。
普通ではおいそれと見ることのできない名品をしばらく手元において鑑賞できるゼイタク。
その作品の内容を知る楽しみもついてきます。
最近では水墨画の掛け軸から「漁樵(ぎょしょう)問答」、額から「韓信の股くぐり」の故事ことわざを知りました。
また古い額や屏風、ふすまを解体した時にたまたま見つかる書き付け証文や手習いの筆跡。これは紙の貴重な時代、下張り紙として反故紙を再利用したのですが、興味深いものです。
読み慣れない筆字をたどっていくおもしろさや日付を見つける楽しみがあります。
代用に新聞紙が張ってあるときもあって、赤茶けたニュース記事や当時の広告が
こつぜんと現われます。
時間も仕事も忘れて、ついタイムスリップしてしまうのです。
あっという間に1月も半分過ぎてしまいました。
遅ればせながら・・・今年もよろしくお願いいたします。
今日は今年初めて中尊寺に行ってきました。
例によって仕事がらみで出かけ、打ち合わせのあと金色堂の前まで足をのばしました。
朝だったので人出も少なく、お札所の職員さんが雪掃きをしている姿が印象的でした。
帰ってきてから気づいたことには
いつもひとかたならずお世話になっているお寺のご本尊さまに
「この1年もよろしくお願いいたします。平穏に過ごせますように」と手を合わせてくるのを
すっかり忘れていた体たらく。
そういえば今日は小正月。
参拝すれば元朝参りになったかもしれないのに、残念!
そのあと京都の織元さんや馴染みの額屋さん、
頑固な汚れは薬品で処理しますが、これはみちがえるほどの効果があります。
仕立てたのではありませんが、とてつもない大きさの掛け軸を修理したことがあります。
ホームページトップの写真がそのときのものです。
江戸時代に描かれたと言われている「釈迦涅槃図」で、正法寺の所蔵です。
何度か仕立て直しと修理が繰り返されてきましたが、
現在の表具は菊地表具店(奥州市水沢区)の仕立てで、菊地傳さんは私たち夫婦の師匠です。
2006年、正法寺の「平成の大改修」の完成に合わせて修理することになり、本堂での作業となりました。小舞台の緞帳のような大掛け軸は、寝かせたら大きな座敷がいっぱいになるほどでした。
カビを取りのぞいたり小さな剥がれを補修すると、いよいよ天井の滑車に掛かった太い綱に吊るして作業はおしまいです。が、師匠とツレアイと私の3人ではとても力が足りません。
若い修行僧の皆さんとにぎやかに引っぱって、掛け軸は無事、立ち上がりました。
本堂東室中の間に常時掛けられていますので、どうぞご覧ください。
●正法寺
岩手県 奥州市水沢区黒石町正法寺129
TEL 0197-26-4041
これまで手がけたうちでいちばん大きな掛け軸は、「蝉丸」という能の一場面を描いた作品の表具です。
大正期に表装されたとおぼしき掛け軸は歳月を経て糊が枯れ、作品と回りの裂地、裏打ち紙のあいだが部分的にはがれてきていました。
そのための仕立て直しです。
まず古い裏打ち紙を丁寧にはがし、作品だけを取り出して新しい表具を施していくのですが、解体(?)していく際に現われる先輩職人の緻密な技には思わずため息が出ます。
「なんでも鑑定団」の中嶋先生の名ぜりふ「いい仕事をしてますねえ~」ではありませんが、「きっちりとした、いい仕事」を目の当たりにできた幸せを感じます。
その幸運と、今回の表装者となった楓林堂の技術は次の表装者に恥ずかしくないものだろうかと、少しドキドキ不安な気持ちが入り混じった思いでお客さまに納めたのでした。
写真はあまりに丈が長くて工房に掛からず、自宅の階段の壁面を利用して掛かり具合を確かめているところです。
歴史の浅い当工房の屋号のことなど話題にするのもおこがましいのでありますが、ときどき
「なかなかいい名前だね」とほめられて、つい命名の由縁をおはなししたくなります。
惜しげもなく表具技術と商売のコツを伝授してくれた一関の師匠の店での見習いを終えて、自宅で仕事を始めた当初は細々とした注文があるだけでしたから、屋号だなんて思い至りませんでした。
ある日、お客さまが「そろそろ表具屋らしい名前を付けたら」と勧めてくださいました。
う~ん、中身はまだ半人前なのにいっぱしの職人みたいで照れくさい・・・
けれど、かっこいい看板に見合う表具屋になりたい、と思う気持ちもあってあれこれ考えるようになりました。
師匠の仲間に「伊藤天游堂」いう表具屋さんがいて、つねづねステキな屋号だなと思っていたので真似ることにしました。 基本の型は「こがさか○○堂」と決定!
ここまでは順調でしたが、肝心の○○が埋まりません。じっとり汗ばむ季節で、裏打ちをしたり切り継ぎをしながら頭の中はさまざまな漢字二文字が浮かんでは消えていきます。
そんな時、軒先に吊るしていた風鈴が 「チリ~ン」
その涼やかな音が、まさに天からのお告げのように耳元に届いたのです (笑)
”こがさか風鈴堂”
でもこの清々しさは季節感がありすぎて、冬は耐えられるだろうか?
と、目の前には出来上がったばかりの掛け軸が・・・ 本紙は杜牧の漢詩「山行」です。
「・・・そぞろに愛す楓林のくれ・・・」とあります。
高校時代、漢文がきらいだった私ですがあらためて味わうと、なかなかに奥深い意味がありました。 決めた!
こんな成り行きで「こがさか楓林堂」となったのでありました。
山行 遠上寒山石径斜 白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩 霜葉紅於二月花
わが家のモミジも今を盛りと、色づいております。
1日から始まった「秋の藤原祭り」の2日目に、人出も多く華やいだ雰囲気があります。
菊まつりも行われていて、訪れた者の目を楽しませてくれます。欄干からの懸崖はとくにみごとだと思いました。
丹精込めて育てられた菊の鉢が並ぶ会場ではカメラを向ける人の多いこと。そういえば、うちの子どもたちが小学生の頃も学校から出品して、記念撮影に来たな、と遠い日を懐かしく思い出しました。
そんな私のすぐ横で意味不明の会話が聞こえてきました。私たちと同じ顔つきなので気がつきませんでしたが、おとなりの国からのお客さまでした。菊の美しさに日本のこころが伝わったでしょうか。
参道のモミジもすっかり紅葉して、境内は静寂な冬を迎えるひとつ手前の輝きに満ちています。仕事がらみの中尊寺訪問でしたが、いい時期に上ってきたとうれしくなりました。