昨日はとなり町、奥州市前沢区の福祉施設さんに呼ばれて、表具の講習会に行ってきました。参加されたのは、日ごろおうちで家族を介護をしている方々です。
月一回、講演や講習会でリフレッシュしてもらおう、という在宅支援活動だそうです。
ふつう表具教室では7~8回コースで掛軸や屏風なんかを作りますが、
1回でしかも2時間半が限度という制約があるので、その中で何がつくれるかが問題です。
担当の方とあれこれ考えて決めたのが小さなパネル額でした。
出来上がったものを持ち帰っていただくために、8割方出来上がっているものを用意して、仕上げの部分(完成したとき実際に表に見える)をやってもらうことにしました。
パネル額の本体に袋張りをしたものに、表の紙、縁の紙、裏の紙を張り、表にアクリル板をつけ、裏にヒモをかける金具を取り付け、ヒモを通して完成という工程です。
あとはお宅に帰って絵葉書とか写真とかをはさんで飾ってもらいます。
参加されたのは女性ばかり9人でした。
初めての刷毛に最初はおっかなびっくりでしたが、すぐにうまく使えるようになり、
作業は順調に進みました。
意外だったのは、最後のアクリル板と金具取り付け時のドライバー。
「センセー、さっぱり入っていきませーん」
ツレアイと私がそっちこっちの作業台に行ってみると、みなさんは一所懸命にドライバーを回していますが、ネジ釘は空回りしています。
「指先でクルクル回すんじゃなくて、力を入れないとネジは入っていきませんよー」
「あらー、そー」
みなさん、家庭ではあんまりネジを回すということがないんですねえ。
それでも、楽しくモノ作りをしてくださって、時間内に立派なパネル額が完成しました。
ひとときでもなにかに集中して日ごろの介護を忘れる時間になったなら、
それはとっても嬉しいことです。
どんなのを作ったのかは、次のブログで。
どうして私は2枚をアップロードできないんでしょう???
情けなや…
~浄土の風、薫る町に~ こがさか楓林堂
PR
「出張する」と言えば聞こえがいいのですが、この辺りの言葉に直せば「出はって行って、かしぇえで(稼いで)くる」ということでしょうか。
いつも小さな工房の中で仕事をしていますが、一昨日と昨日はよそで障子の張替え作業をしてきました。気分が変わって、こういうのもたまにはいいですね。
最初は障子を運んできて、工房での作業を予定していたのですが、幅広の障子がうちのクルマに入らなかったのです。急遽、お客様宅の1室をお借りすることになったのでした。
あと数枚で終わる、といったころの写真です ツレアイはかなり疲れている様子。
それまでは黙々と刷毛を使っていたのが、「腰が、腕が・・・」と急におしゃべりになってきました。
私は 「ほら頑張って。明日に持ち越すのいやでしょ」 とハッパをかけます。
私、ですか? 大丈夫ですよ。
うちに帰って家事をする余力を温存しなけりゃならないので、そこそこの分量で動いてましたから。
にもかかわらず、予定通りの日程で終了できた達成感と爽快感は充分ありました (笑)
きれいに張り替えられたお部屋で、来月、お嬢さんの結納が行われるとか。
おめでとうございます。
~浄土の風 薫る町に~ こがさか楓林堂
9月4日に更新した法華経の巻物のその後です。
私どもは天台宗の仏教青年会の方々が震災の犠牲者の鎮魂のために写経した法華経を、巻物にして被災地のお寺さんに奉納する、ということしかうかがっておりませんでした。
表具屋はそれだけで十分なのですが。
昨日、インターネットをいじっていたら、そのことが出ていました。
天台宗の九州教区HPです。
↓↓↓
http://www.tendai924.com/topicsvol24.html
あの巻物は気仙沼の観音寺というお寺さんに奉納されたようです。
「一生大事に護持していきたい」とおっしゃるご住職の言葉に、いい仕事に携わらせていただいたと、思いがけなく感慨深い気持にさせていただきました。
~浄土の風 薫る町に~ こがさか楓林堂
いかがでしょうか。
シックな仕上がりでしょう。
骨材になるザルに下張り・上張りの和紙を張りつけるコツと、十分乾かすこと、柿渋の特徴を説明するだけで、誰にでも簡単に出来るのがいいですね。
あとは作る人の配色とレイアウトのセンスなんでしょう。
教える私よりずっとステキな作品になって、嬉しいやらちょっぴり悔しいやら。
作業をどこでストップさせてもまたスタートさせてもOKなのも、私には都合がいいことです。
教具教室では裏打ち作業の後は乾燥するのに数日かかるので、うまく時間配分しないとムダな時間が生じてしまいます。そこで今年から教具作業の合間にこの一閑張を入れてみたのです。
来年はもっと積極的に取り入れてみたいと思います。
~浄土の風 薫る町に~ 表具工房 こがさか楓林堂
昨日は一関市の「福祉まつり」でした。
私が担当している表具講座のみなさんの作品も飾られて、これが今年度の締めくくりです。
素人とは思えない、しかも今年初めてという人たちがふたりいますが、遜色のない出来映えです。講師としてはもう大満足です。
前に並んでいるのはおまけで作った「一閑張」のザルです。
大きく撮った写真もあるのですが、悲しいかな、1件のブログに複数の写真をアップする術を知らないのです。追っかけ、お見せします。
今日から10月。
衣替えの時期ですが、台風17号の影響で今日も夏日になるとか。昼は半そでシャツ、夜は肌掛け布団1枚でOKで、夏物をしまうのはまだ先のようです。
猫の額ほどのわが家の家庭菜園も、いまだ青々と葉が茂り、ナスやらオクラやら、いろんなものが採れて季節感がありません。ありがたいことではありますが・・・
どうなってるんでしょうねえ?
~浄土の風 薫る町に~ 表具工房 こがさか楓林堂
ツレアイが6月から少しづつ手をかけていた法華経の巻物10巻が先月末、ようやく仕上がりました。当初はお盆までの完成、という予定でしたが、少々遅れてしまいました。
というのも、いつもの写経巻物は20枚前後をつないでいき、頭の部分に表紙と巻き尻に奥付け、軸木を取り付けるだけの比較的簡単な作業です。
けれども今回は200枚余の写経用紙をすべて肌裏打ちすることになったので、手間と時間がかかりました。ツレアイはほかの作業の合間に裏打ちをしていくのですが、枚数が多いので遅々として進まない模様。
見かねた私は「いくらか手伝おうか」と、温かい手を差し伸べてやりましたが(?)、かたくなに拒否。連日の猛暑の中、ツレアイは汗対策にタオルで鉢巻しながら、とうとう全部ひとりでやりきりました。
この法華経。去年の東日本大震災で亡くなられた方々を慰霊するために、天台宗の若い僧侶の方々が写経されたと聞きました。なるほど、用紙の最後には全国にわたる県名、寺名、名前が記されていて、当然、1枚1枚それぞれみな違う筆遣いです。
横で作業を眺めているだけの私でしたが、仏に仕える若い和尚さん方の思いが結集したものだ、と思うと胸には熱いものが走りました。こういうだいじなものの表装をさせていただける、というのは表具屋冥利に尽きるなあ、と思った次第です。
「お前、ぜんぜん作ってないじゃん」と言われそうですが・・・ いえいえ、作業の進捗をしっかり監督していたから、気分は一緒に作っていたつもり、デス。
~浄土の風 薫る町に~ 表具工房 こがさか楓林堂
表具屋の仕事は、ほとんどが紙、裂と糊とのお付き合いです。
掛軸の上下の両端に八双と軸木を取り付けるときや、額や屏風の木縁を取り付けるときに、ほんのちょっと木工作業が入ります。
私も表具師の端くれですから、一般の女性に比べれば金づち、ノコギリの使い方はうまいほうです。でもイマイチ、得意というほどではありません。
けれどもツレアイはちがいます。やっぱりオトコなんですねえ。
クギはあくまでもまっすぐに入っていくし、ノコギリでスパンと切り、カンナでスベスベの木肌を出していく。
「まるで木工職人みたい。さすがだねー」と私は褒め上手に徹しています。
おだてに乗るツレアイは、裏打ち作業の合間に、額の土台作り。
細い角材にホゾを切って、はめ込んでいきます。そう、障子の骨子みたいでしょう。
額も屏風もフスマも外側からは見えませんが、中身はみんなこうなっているんですよ。
端っこがちょっと出っ張っているのは、直角になるように土台作りの最後に切り落とす部分です。
しっかり矩形になったものに何枚も紙を張り重ねて、最後に表に出るきれいな紙や裂を張って、その上に書画をのせてやります。そうそう、木縁もつけなくっちゃね。
こんど額や屏風をご覧になったときは中身を想像してみてくださいね。
~浄土の風 薫る町に~ 表具工房 こがさか楓林堂
たった2ヶ月前に初めてやった一閑張を、昨日は教えることになりました。
大胆でしょう。
でも、一閑張は奥は深いのですが、基本は単純です。
なにしろ、竹のザルやカゴに和紙を貼り、柿渋を塗るだけの作業ですから。
平泉の友人たちや一関の表具教室の人たち、8人が集まってくれました。
それにツレアイと私の、総勢10人です。
一閑張は表具と同じで、湿→乾→湿・・・の繰り返しです。
さいわい天気がよくてすぐに乾いてくれるので、作業は順調に進んでいきます。
予定では10~2時という日程でしたが、4時ころまで延長。
みんな2作品を仕上げることができて、終わりました。
おなじ材料を使いながら、それぞれ貼り付ける色和紙の組み合わせや形の違いで、
個性的な作品が出来上がります。おもしろいですねえ。
表具の場合は、決まった形式の掛軸を作るので表具教室で教えていても、
そんなに個性の違う作品になることはありませんから、ほほーって、感じです。
参加した人たちが今度は教える人になって、どんどん広がって行ってくれると
うれしいです。心地よい疲労感と、腰痛が残りました。
いつもとは勝手の違う講習会に、心の余裕がなかったのか、
作業風景や作品の写真を撮るのをすっかり忘れていました。
残念!!
~浄土の風 薫る町に~ こがさか楓林堂
大胆でしょう。
でも、一閑張は奥は深いのですが、基本は単純です。
なにしろ、竹のザルやカゴに和紙を貼り、柿渋を塗るだけの作業ですから。
平泉の友人たちや一関の表具教室の人たち、8人が集まってくれました。
それにツレアイと私の、総勢10人です。
一閑張は表具と同じで、湿→乾→湿・・・の繰り返しです。
さいわい天気がよくてすぐに乾いてくれるので、作業は順調に進んでいきます。
予定では10~2時という日程でしたが、4時ころまで延長。
みんな2作品を仕上げることができて、終わりました。
おなじ材料を使いながら、それぞれ貼り付ける色和紙の組み合わせや形の違いで、
個性的な作品が出来上がります。おもしろいですねえ。
表具の場合は、決まった形式の掛軸を作るので表具教室で教えていても、
そんなに個性の違う作品になることはありませんから、ほほーって、感じです。
参加した人たちが今度は教える人になって、どんどん広がって行ってくれると
うれしいです。心地よい疲労感と、腰痛が残りました。
いつもとは勝手の違う講習会に、心の余裕がなかったのか、
作業風景や作品の写真を撮るのをすっかり忘れていました。
残念!!
~浄土の風 薫る町に~ こがさか楓林堂
中尊寺参道の奥の奥、鳥居をくぐって行き着くのは白山神社、能楽堂、かんざん亭。
数日前、仕事でかんざん亭に伺って、帰るときの写真です。
一山の樹木という樹木が幹から枝から葉先に至るまで、いっせいに輝き始めて
その青さが目にしみるほどの美しさでした。
ふと浮かんだのが「あらたふと青葉若葉の日の光」
芭蕉翁がこの句を詠んだのが、旧暦4月1日。
太陽歴ではついこの間の5月19日に当たるとか。
日光から平泉までは北に約350キロ。
この距離と10日のズレを相殺(?)すると、芭蕉が見て感じたのと同じ「青葉、若葉、日の光」に包まれているんじゃないかしら、とひとりその気になっておりました。
浄土の風薫る町に~ こがさか楓林堂